アメリカのネバタ州にあるブロックロック砂漠。
「ブラックロックシティ」は年に一度、8月の終わりの一週間だけ、この砂漠上に姿を現します。
何もない砂漠に約7万人という人が集い形成されるブラックロックシティ。

「バーニングマン(Burning Man)」と呼ばれる大型野外フェスに集まった人々によって作られています。
参加者はキャンピングカーや奇妙な形をした乗り物、プライベートジェットなど、思い思いの乗り物に乗って会場に登場します。

この野外フェスには、基本的なものと毎年ごとの「テーマ」、参加にあたっての「ルール(10ケ条)」があります。
まず、基本的なテーマは「No Spectators!(観客になるな!)」です。バーニングマンは参加型のフェスであり、他人ばかりに頼らず、「心」で自立して他人と繋がっていくということを目的としています。
その年ごとのテーマもあり、2017年のテーマは「Radical Ritual(革新的な儀式)」でした。
そして、参加者のルール10ケ条。(詳細略)
1.Radical Inclusion(誰でも参加OK)
誰でも参加でき、未経験者を歓迎しリスペクトします。
2.Gifting(与える姿勢)
バーニングマンでは与え合うことで経済が成り立っています。
見返りや同等の価値のあるものの交換を期待しません。
3.Decommodification(脱・商業化)
純粋なギフトの精神を保つため、営利的なスポンサーなどを解さない社会的環境づくりを目指します。
4.Radical Self-Reliance(徹底した自立)
参加者それぞれが内なる才能を見出し、それを発揮し、それに頼れ。
5.Radical Self-Expression(徹底した自己表現)
徹底した自己表現はユニークな才能から生まれる。
自分以外がその内容を決めることはできない。それは表現者からのギフトである。
この精神に基づき、表現者も同様に受け手の権利と自由を尊重する。
6.Communal Effort(協力すること)
創造的に協力したり共同制作することを尊重する。
そのための社会的な繋がり、公共スペース、アート作品、コミュニケーションの手法をつくり、促進し、守っていく。
7.Civic Responsibility(市民としての責任)
市民社会を尊重する。
イベントを組織するものは公益に関する責任をとると同時に参加者に市民としての責任を伝える。参加者はネバタ州と連邦の法律に従う必要もある。
8.Leaving No Trace(跡を残さないこと)
私たちのコミュニティは環境を尊重する。
どこに集まろうとも、活動にあたっての物質的な跡を残さない。
立ち去るときは場を一掃し、来た時より綺麗な状態にする。
9.Participation(参加すること)
ここでは徹底した参加という倫理に徹する。変容は個人的あるいは社会的なものも極めて主体的な参加を通してのみ起こりうると信じている。
主体的な行動から達成感を感じる。
誰もがなにか働きかけるために訪れる。
誰もがプレイするために訪れる。
心を開いていく行動により、この世界にスリルを感じる。
10.Immediacy(直接性)
直接的な経験は多くの意味で、この文化において最も重要な価値の基準になる。
私たちは自分の内面や周囲の現実、この社会、そして人の力を超えた自然との間にある障害を乗り越えようと努める。
直接的な経験は他のどの経験にも取って代わることはできない。

長くなりましたが、つまりはきちんとしたメッセージ性のあるイベントだということですね。
ここまでの内容を見ると真面目なイベントなんだな、、、と思うかもしれませんが、実際はそうではありません。雰囲気的には「大人の学園祭」といった感じです。
多くのアーティストや、一部では富豪たちが集まることもあり、会場のアート作品は近未来か空想上の惑星にいるかのような圧倒的な存在感を放っています。




この大規模なイベントの始まりは1986年、ラリー・ハーベイとその友人がこの地に2.4mの木造の建物をつくり、火を放ったことがきっかけでした。
理由は失恋の痛手と決別するため。
この儀式のようなものを毎年行なっていた所、次第に噂が広まり、1つのイベントとして毎年行われるようになりました。
4年後には500人越え、10年後にはイベントに「バーニングマン」という名が付き、31年後の今では7万人を超えるイベントにまで成長しました。
会場には巨大な建造物や体験型の遊具、料理店、マッサージなどの店舗が運営している他、100以上のライブ、レイブなどが開催されています。格闘技のようなイベントも。


市民は皆、思い思いの行動を取っています。スカイダイビングする人だっています。裸になる人も。


その他にも交通手段、新聞、ラジオ局、診療所なども参加者が必要に応じて企画、運営しています。
街の中心には「ザ・マン」が立っています。この巨大な棒人形を目印にしながら方角を認識します。

夜はライトアップされるザ・マン。

そしてこのザ・マンはバーニングマン開催中、残り二日を残した時点で爆発とともに燃え落とされてしまいます。


他にも開催期間中に様々なイベントを実施しているバー二ングマン。興味のある方はもう少し詳しく、内容について調べてみてはいかがでしょうか。
アクセス
開催の半年前から購入できるチケット(475ドル≒4万7000円。発売後数時間で売り切れる。)を手に入れたら、まずはサンフランシスコ経由でリノ・タホ空港を目指しましょう。
成田からの場合、経由も合わせて約12時間ほどで到着します。

会場はリノから150kmの砂漠にあります。見渡す限り砂と砂山しかない場所です。空港から車を借りて、順調に行けば4〜5時間ほどで会場に到着します。
近年は参加者が増加したこともあり、空港から会場まで一晩かかrこともあるのだとか。余裕を持って行きましょう。少々遅れても、開催期間が長いので急ぐことはないかと思いますが。
宿
基本的に宿泊施設などがあるわけではないので、キャンピングカーの中の車内泊などになるようです。